20代、30代、40代、50代の未経験の転職に必要なことを体験談から考えてみよう

新型コロナウイルスによって生活様式が大きく変わっています。この生活様式の変化は今までの常識を覆すものが多く、仕事においても「この会社でこの先働いていても大丈夫?」と考え始める人が増えているのが実情です。
だからと言って今現在の仕事から全くの未経験職種への転職は、勇気が必要です。何よりも採用する会社側が未経験者に対してどこまで採用枠を拡大するかも未知数ですから。
こうした時代の変化の中でかしこく未経験の転職に成功するための秘訣は、年齢により異なります。今回は取材範囲を拡大し、年齢別の転職成功体験をもとに未経験の転職に必要なことを解説していきたいと思います。
20代の未経験の転職に必要なことを体験談から考えてみよう
転職に一番優位な世代は何と言っても20代、特に第二新卒と言われる世代は比較的即戦力としても期待が持てるため、転職市場の中では成功確率が高い世代と言われています。そうは言っても未経験職への転職にそんなに簡単に成功できるものなのでしょうか。
【体験談】20代の未経験の転職レポート
名前:山本 祐樹(仮名)
学歴:4年制大学卒の社会人4年目の24歳/東京都在住
山本君はコロナ渦に転職に成功した人です。元々ホテルマンに憧れていた彼は、大手のホテルに就職します。夢を実現させ充実した日々を送っていた山本君に対しても、新型コロナウイルスは容赦なく襲ってきました。緊急事態宣言と同時に自宅待機が始まります。
自宅待機中、給与はもらえたものの将来に対して不安を抱くのは当たり前です。また山本君の場合は奨学金を借りて大学を出ていましたので、まだまだ奨学金の返済が続きます。結婚して家庭を持ち、子供が生まれ家を持ち、マイカーを持つ生活。
誰しもが不通に憧れる将来ですが「自分には無理では?」と言う不安が襲い始めます。緊急事態宣言が解除され職場復帰を果たしますが、その不安は消えません。そして秋に差し掛かった頃に、知人を通じて私に相談の話が舞い込んできました。
憧れのホテルマンと聞き、私は「好きこそものの上手なれ」と、転職せずに今は耐え忍ぶ時期と言ったのですが、現場の空気感から山本君は転職する気持ちが強くなったそうです。いずれにしても辞表は提出せずに「異業種の会社で内定が取れた時のみ転職する」
私が出したこの条件に納得して、転職活動を開始しました。私は山本君の趣味を聞くところから始めましたが、彼自身は「ゲームが大好き!」ということが分かりました。そこで未経験でも採用してくれる会社があればと、ゲーム業界の転職へと挑戦を開始します。
転職エージェントに登録後、2か月で内定を獲得。年内いっぱいでホテルを退職して来年から新しい会社で働くことになりました。
【解説】20代の未経験の転職の成功のポイント
この転職の成功のポイントは2つあります。「年齢」と「趣味」です。年齢的にも社会人経験4年と落ち着きがあり、何よりもホテルマンですから人当たりの良さはピカイチでした。加えてマニアックなほどの趣味を持っていたことも、転職成功のカギを握りました。
コロナ渦による在宅需要の高まりから、ゲーム産業は好景気が続いています。ゲーム開発者及びエンジニアが不足するだけでなく、それらに係る営業をはじめとした職業も人手不足になっていましたから。
山本君はホテルマンとして磨いた人当たりの良さを評価され、ゲームメーカーの営業として転職に成功できたという事例です。

30代の未経験の転職に必要なことを体験談から考えてみよう
続いて30代、20代に比べ転職成功の確率は下がりますが、それでもまだまだ転職成功のチャンスは十分持ち合わせています。
【体験談】30代の未経験の転職レポート
名前:吉本 綾香(仮名)
学歴:調理師専門学校卒/30代前半の女性で千葉県在住
吉本さんは子育てをしながらレストラン厨房の調理師として、フルタイムで働いていました。料理が好きなことや、自宅から近い職場でご主人の協力を得ながら、仕事と家庭を両立してきた人です。このままこの仕事を続けていくつもりだったそうです。
ところが今年に入り、新型コロナウイルスが猛威を振るったことで職場から自宅待機を言われてしまいました。緊急事態宣言が解除された後も客足は昨年ほどまでは戻らず、将来に不安を抱いていたそうです。
ご主人が私の知り合いということもあり、ご主人から最初は相談を受けました。奥さんの吉本さんは、専門学校を出てからずっと同じ職場で働いていましたので、転職も初めての経験、失敗した時の不安も含め、不安が募り決断できずにいたそうです。
私は転職エージェントへの登録を勧め、内定が取れた時のみ転職するよう話しました。結果的には転職開始一ヶ月強で内定を獲得、今は新しい職場で充実した毎日を送っています。一体どんな仕事に就くことになったのでしょうか。
【解説】30代の未経験の転職の成功のポイント
栄養士の資格を持ち料理の経験も豊富な吉本さんを必要とする業界は、来店型で成り立つレストラン業界だけではありません。私は転職エージェントへの登録の際に「来店型ではなく宅配型の飲食サービス業」を探すようにアドバイスしました。
せっかく好きで続けてきた仕事です。料理は何も来店客だけに振る舞うものではありません。高齢化が進み、またコロナ渦では在宅需要の高まりから宅配需要も伸びています。こうした時代の変革に合わせ、宅配型の料理を提供する会社に的を絞ってみました。
結果は高齢者向けの宅配弁当を販売する大手企業への転職に成功出来ました。多少の通勤時間は必要になりましたが、料理を作る面では好きな仕事を続けることが出来たわけです。
吉本さんの転職成功のポイントは1つです。将来に不安を感じた前職は来店客から収益を得るサービスを提供していました。人は食事をしなくては生きていけませんから、コロナ渦でも宅配型の飲食需要は成長していた点を狙って転職活動をしたことにあります。
資格や経験が異業種で活かされたことも、転職に成功できた条件と言えます。

40代の未経験の転職に必要なことを体験談から考えてみよう
40代にもなると、転職に成功できる確率は一気に下がります。私も近々事業を拡大するためにフリーランスを卒業して株式会社を作りますが、やはり30代以下の人材の方が採用しやすい感覚を持っていますから。
難易度が高い40代の転職、しかも未経験職への転職に成功できるのでしょうか。身近に一人だけ成功した人がいましたので、体験談をご紹介します。
【体験談】40代の未経験の転職レポート
名前:荒井 陽子(仮名)
学歴:短大卒のOL/離婚歴はありますが子供なしの40代半ば/住まいは埼玉県
荒井さんは旅行会社のOLとして勤続25年を迎えた大ベテランです。埼玉県の某市にマンションを所有し、独身です。今までは都内某都市の立派なビルにある旅行会社のOLとして、1時間ほどの通勤時間を使い勤務していました。
元々リラクゼーション系の趣味があり、一時期は専門学校に通っていたこともあります。はたから見れば独身貴族を桜花している大手企業勤務のOLですが、そんな荒井さんもコロナ渦で仕事に対する考え方が変わりました。
緊急事態宣言が発令される前に在宅ワークになりましたが、通勤時の感染に対する不安がこれから先の人生を大きく変えるきっかけになり、転職の相談を受けました。
私は正直に「転職には反対、コロナが収まればまた元の生活に戻るから。」と成功確率が低い転職活動は勧めませんでしたが、本人の決意は相当なものでした。私からは2つの条件を出しましたが、その条件に対してもすんなりと受け入れてくれました。
40代半ばの荒井さんの転職成功のために出した条件
- 収入ダウンは覚悟すること
- 転職先は収入よりも「好きなことをして生きていきたい!」をテーマにすること。
この2つの条件下で、私は転職活動を進めてみるように話しました。そして転職エージェントに登録するように言いました。結果的に3ヶ月で未経験職種への転職に成功することになりますが、この年齢でどんな職種が未経験者を採用したのでしょうか。
【解説】40代の未経験の転職の成功のポイント
荒井さんの転職成功の条件として大きく影響したことは、収入ダウンに対する考え方でした。荒井さんは何と「手取りで15万円貰えればいいの!」これが収入に対する条件でしたから。結果的に年収300万円以下で新しい生活が始まります。
もう一つは転職先に恵まれていたことです。選んだ業界はリラクゼーション系の小規模展開をしている会社で、将来的な後継者が欲しいと経営者が考えていたことです。コロナで授業縮小は避けられず、若い人は皆辞めてしまった会社に就職しました。
経営者本人もこの先数年しか働く気がなく、後継としてお客様を引き継ぐ人材が欲しかったこと、趣味とは言っても荒井さん自身が好きなことを仕事にしたかったこともあり、弟子入りする気持ちで転職が成立しました。
最後に大手旅行会社に25年も勤務した荒井さんは、何と言っても莫大な退職金を手にしましたし、そのお金で購入したマンションのローンを繰り上げ返済し、生活維持費が一気に下がりました。こうして好きなことを仕事にしても、生活ができる条件が整ったそうです。
家庭を持つ40代の未経験職種への転職になると収入面が壁となりますが、荒井さんはその壁がなかったことと、後継者を探す求人に出会えたことが転職成功の要因と考えて良いでしょう。

50代の未経験の転職に必要なことを体験談から考えてみよう
最後に50代の転職ですが、私自身は50代の転職に成功する人はいないと思っていました。このあと紹介する体験談と出会ったことで、それは固定概念だったと思い知ることになりました。
【体験談】50代の未経験の転職レポート
名前:秋葉 大介(仮名)
学歴:都内有名大学卒で妻と子供2人の一家の父/転職前はイベント会社の部長
秋葉さんは私の学生時代の先輩にあたります。とても頭が良い人でした。面倒見も良く、私の人生にも大きな影響を与えた一人です。お子さんは2人ともすでに就職していて、奥さんとは老後のことを話し合う機会が増えていたそうです。
イベント業界もコロナ渦の影響を受けた代表的業界です。業績は一気に下がり、早期希望退職者の応募に応じる形で秋葉さんは失業しました。それでも今は某IT業界の開発担当部長補佐として再就職を果たしています。
秋葉さんは早期希望退職者に応募したことで、少し多めに退職金をもらっていました。そのお金を有料制の転職エージェントに投資をして、転職先を探し始めました。人を楽しませることが何よりも生き甲斐だった秋葉さんですが、年齢的な面では転職市場では不利です。
それでも転職に成功できたのですから、そこにはポイントが隠されているはずです。この年齢での転職成功のポイントをこれから解説します。
【解説】50代の未経験の転職の成功のポイント
秋葉さんが退職を決めた時には、有料型の転職エージェントを使う気でいたそうです。コロナの影響で業績が下がり退職したとはいっても、今まで人を楽しませてきた実績には自信があったことから、転職に対しても最初から強気でいました。
時代の変化により長年お世話になったイベント業界が衰退したとは言っても、多くの人を楽しませる需要そのものはなくなることはないと、確信していました。そして成長産業のIT業界、しかも管理職に目を付けて自分を必要としてくれる会社を探していました。
いくつか転職エージェントを掛け持ちすることも考えたそうですが、そもそも転職経験がないこともあり、お金を払えば「そんなことも知らないの!?」と思われることでも安心して質問できると思ったことが、有料型の転職エージェントを決めた理由だそうです。
秋葉さんは誰もが知るイベントを多く手掛けていたことから、転職先を探してくれたヘッドハンターも強気で高額年収を提示している企業に秋葉さんを売り込んでくれました。結果的に5社ほど面接し、内定を1社得ることが出来ました。
年収は転職前より若干下がりましたが、出来高制の条件付きで今では新しい会社で生き生きと働いています。
50代での転職に成功するポイントは、大きく分けて3つあることに気が付きました。
- 転職エージェントが企業に売り込みやすい実績を持っていること。
- 自分の強みの本質を見抜き、自分自身を否定せず売り込みが出来ること。
- 転職活動を続けて行けるだけの経済的な余裕。
この3つのどれか一つでも欠けていれば、もしかするとこの転職は失敗に終わったのかもしれません。焦らずに自分の生きてきた人生に自信を持つためにも、家族に負担をかけない経済的な余裕も必要です。お子さんが就職していて養育費が不要だったことも良かったと言えます。
いずれにしても50代だからこその転職条件があることを、秋葉さんの転職成功体験で知ることが出来ました。
余談ですが、再就職を果たした会社では社長さんも含めた全スタッフの中で秋葉さんが一番年上だそうです。また初めての転職で知らないことが多く、転職で出会った人たちには「そんなことも知らないの?」ということも沢山聞いたと笑って話してくれました。聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥、そういう心構えも大切なのかもしれません。
まとめ
転職と二文字で表現することは簡単ですが、この転職を成功させるためには様々な条件を整える必要があるのではないかと思います。
- 自分の年齢
- 自分のやりたいこと
- 自分の実績
- 生活の背景
- 時代背景と成長産業を見抜く目
考えればもっとあるのかもしれませんが、最低限転職に成功するためにもこの5つの分析は必要ではないかと思います。自分で分析を行い、その分析結果を転職エージェントと相談しながら転職活動を進めていくことで、転職に成功できる確率は上がるはずです。
編集長から見た世代別(20代、30代、40代、50代)の未経験の転職におすすめの転職エージェント
20代:マイナビエージェント
マイナビエージェント
30代:リクルートエージェント
リクルートエージェント
40代:doda(デューダ)
doda(デューダ)
50代:ビズリーチ(有料)
ビズリーチ
編集長MR.お~!から転職エージェント活用の心得え
- 転職エージェントは一つに絞らずに複数の転職エージェントを利用すること!!
- 労働条件や業種、職種、年収など希望をまとめておくこと!!
- 転職完了まで通常3~6カ月程度かかることを理解しておくこと!!
ご自身のキャリアを見直したい方や今の職場の環境や労働条件にご不満ある方、また転職にご興味ある方、まずは転職のプロに無料相談してみましょう。